「人材育成ハンドブック」書評

人材育成ハンドブック

この本の副題は「いま知っておくべき100のテーマ」です。
数が多いと思いつつも、読み進めていくと「知っておくべき」内容と、「実践すべき」テーマが、読者それぞれに意識付けされるものと思われました。
つまり100全部を実行する必要はなく、このなかで自分の環境に合ったものを採用してくださいという筆者の意図が感じられました。



以下は私の視点でピックアップした項目です。

行動変容の5ステップ

いきなり人は変わりません。生活習慣の改善を目的にした行動変容ステージモデルは、5つのステージに分けられます。
  1. 前熟考期
  2. 熟考期
  3. 準備期
  4. 実行期
  5. 維持期
課題の認識もないままに行動だけ促しても成果は出ないでしょう。会社からの期待を伝え、ギャップを感じてもらう前熟考期から始める必要があります。

コンピテンシー

日本でも2000年頃から人材戦略にコンピテンシーの考え方が採用されています。
目に見える「スキル」「知識」だけでなく、目に見えない「自己概念」「特性」「動機」にも着目する考え方です。
多くの企業では以下の項目をコンピテンシーとして採用しています。
  1. リーダーシップ
  2. コミュニケーション
  3. 人材育成
  4. チームワーク
  5. 創造
  6. 影響
  7. 決断
  8. 誠実
  9. 顧客志向
しかし、これらを全てカバーしている会社や経営者、マネジャーはどのくらいいるでしょうか?
恐らく1つも達成していない人も多いと思われます。優れた経営者でもかろうじて半分程度でしょう。
理想と現実のギャップは、社員の満足度にも現れます。会社や経営者に理想であってほしいと思う願いが、返って現実では落胆を招き、転職を続けたり、会社に居続けて疲弊したりしています。
両者に課題ありです。会社や経営者もこれは無理とあきらめず、100%の理想を追い求めてほしいものです。会社員も理想ばかり望むのではなく、むしろ現実はこのコンピテンシーはほとんど達成していないことを認識し、一つでも経営者に追加してもらうには、「自分が」どう行動すればよいかを考えてもらいたいです。

熟達化

エキスパートへの道筋が熟達化です。4つの段階に分かれます。
手続き的熟達化
定型的熟達化
適応的熟達化
創造的熟達化
1番目は単に手続きだけ覚える期間で1年間で終わるでしょう。
2番目は自分だけで定型的な業務が進められる期間です。業務を開始しておよそ3-4年目です。
3番目は臨機応変に非定型的な業務が進めることができる期間です。業務開始6-10年目がこれにあたるでしょう。
4番目になるとルールを自分で作ることができます。標準的には11年目以降です。

残念に思うのは定型的な業務がこなせるようになった3-4年目で「もう大体先が見えた。この仕事はつまらない。他に転職したい。」と思う人が多いことです。
この気持ちは誰にでも3年程度で訪れます。そこで転職をしてしまうか、それともぐっと踏みとどまって「適応的熟達化」「創造的熟達化」に進めるか、不安もあるでしょうが、仕事は続けることにも意味があるのです。

さらにもう一つ、このような標準的なステップに関係なく、最初から創造的熟達化ができる人がまれにいるということです。
そういった人は逆に手続きや定形業務は苦手でしょう。だから分業が行われているともいえますが、いずれにせよこのステップの次段階への移行がスムーズに行われるかによって、団体における永続的な強さが左右されます。

アクティブラーニング

近年活発になってきている考え方です。グループ討論を行い、自ら体感し、他の人に教えることを主とします。


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